標準治療も意外と難しい。プロアクティブ療法ちゃんとできてますか?

   

ハンドクリームを塗る女性の手

標準治療というのは専門医が作成したアトピーガイドラインに沿った治療のことで、皮膚科で一般的に推奨されている治療方法。

主にステロイドと保湿剤で炎症を治してアトピーをコントロールしましょう、っていうまぁ普通の一般的なアトピー治療。

まぁこのガイドラインもなんというかけっこう突っ込みどころが多いようなものだし、病院によって治療方法は全然違う。

最近ではプロアクティブ療法も標準治療の枠の中に入っているんだけど、これ皮膚科は全然指導しないし実はかなり難しい。

脱ステロイド療法や脱保湿、温泉療法やらは標準治療とは違ったアプローチだから、勧める皮膚科はまだあまりない。

それに脱ステや脱保湿などはとても厳しい治療法なので、できれば標準治療でアトピーを治したいと思っている人は多いと思う。

標準治療でアトピーをコントロールすることは思っているよりもずっと難しいし、自分の判断でやると結構な確率で失敗する。

皮膚科の先生に適切に見てもらうことも重要。

今回はそんな記事。

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アトピー性皮膚炎の標準治療とは

アトピーの標準治療とはざっくり言うと

  • 入浴とスキンケアで肌を清潔に保ち、肌の潤いを保つ。
  • 皮膚の炎症を抑える薬物療法(ステロイド、免疫抑制剤)
  • 悪化因子の除去(アレルゲンなどアトピーを悪化させている原因を遠ざける)

この3つの取り組みがメインの治療法です。

アトピー性皮膚炎の概念図

http://www.kyudai-derm.org/atopy_care/improvement_top.htmlより引用

九州大学のこのサイトには標準治療における薬の塗り方などわかりやすく説明してあります。

アトピー性皮膚炎に関する情報 / 九州大学医学部 皮膚科学教室

九州大学のこの画像のアプローチ1も2も標準治療なのですが、アプローチ2の方は症状が治まってからも外用剤を定期的に使い続けるプロアクティブ療法としています。

 

プロアクティブ療法とは

アトピー治療でも聞くことが増えたプロアクティブ療法。

今までの痒くなったらステロイドを塗り、治まったらやめる。また症状がひどくなってきたら塗るという方法をリアクティブ療法と呼びます。

 それに対してプロアクティブ療法とは、一旦ステロイドや免疫抑制剤を集中して使い、皮膚の炎症が全くない状態に持っていく。 そして症状が再び現れるまでの期間を延ばし、患者への負担を減らし、アトピーをコントロールしていこうという治療法です。 

 

プロアクティブ療法のメリット

プロアクティブ療法はまず、ステロイドをだらだら塗り続けるリスクが減るのが一番のポイント。

ステロイド依存になりにくくなるので、ステロイドが効かなくなってどんどん強いランクのステロイドに頼る状況になるリスクが減る。

ステロイドを数日でも使わずに過ごせる休薬期間を作ることで、休薬期間明けに使うステロイドの効きも良くなるし、皮膚萎縮、ステロイド依存になりにくくなる。

ステロイドをだらだら毎日使うのはリスクがあるから、こうした休薬期間を設けることはアトピー治療で大事な部分。

痒くなった時だけ塗るリアクティブ療法では、症状が治まってから痒くなるまでの期間が短いのに対し、プロアクティブ療法だと症状が再発するまでの期間が長くなる。

つまりそれだけ皮膚が安定した状態を保てるからストレスが減るし、皮膚の再生も進む。

アトピーの症状が再発した時のリアクティブ療法の場合に比べて軽いなど良いこといっぱい。

ただしプロアクティブ療法にはいろいろ問題点もある。

 

プロアクティブ療法のデメリット

プロアクティブ療法は適当にステロイドを塗るよりもアトピーの炎症を抑えるのに効果的な塗り方です。

でもけっこう問題点があります。

 

皮膚の炎症をゼロまで抑え込むのが難しい。

プロアクティブ療法のデメリットはまず皮膚の炎症を鎮めることが難しいことです。

ステロイドを塗ってぱっと見は炎症が治まったように見えても、実はまだ炎症が残っている場合が多い。

ステロイド塗って痒みがマシになって治ったと思ってもまた数日後にすぐ痒くなって炎症がすぐに広がった経験あるでしょ?

ステロイドで炎症をゼロにできなくてすぐ広がっちゃうからなんだよね。

これは素人目ではほぼわからないし、皮膚科の先生でも判断するのは困難。

一旦炎症をゼロにすると次に炎症が再燃した時は中途半端にステロイドをやめた時よりもだいぶ軽いです。

ステロイドをしっかり塗るだけでも実は難しいんです。

炎症が全くない状態っていうのはアトピー長いことやってるともうわかんなくなってるし、ちょっと楽になるとついステロイド塗るのさぼったり、まだ炎症がけっこう残っているのにステロイドの使用をやめてプロアクティブ療法に突入して失敗する人。

なのでプロアクティブ療法を真剣にやる場合は病院に行くこと。

でも皮膚科医も炎症がゼロになったかは触診と目で判断するので、見誤るかもしれない。

 なので、血液検査でTARCの数値を測ってもらおう。 

TARCは炎症のひどさを数値で表したものなので、こいつの数値で判断した方が確実です。

TARCの数値が基準まで下がっていて初めてそこでステロイドの使用をやめるのが正しいプロアクティブ療法。

ただこれは検査するのにお金もかかるし、皮膚科医もそんなにやる気出してくれない。

自分の治療法を押し付ける先生が多いから、こっちの要望も聞いてくれる理解のある皮膚科を探し出そう。

皮膚科の言いなりになってもアトピー治るわけじゃないからね。

 

そもそも炎症を抑え込めない人は置いてけぼり

プロアクティブ療法はアトピー性皮膚炎ガイドラインにも出てくるので標準治療のひとつなんだけど、最初の期間で炎症を抑え込めない人はそもそもプロアクティブ療法を始めることができない。

なんというかステロイドの効かない超重症アトピーの人のことに触れていないのはちょっとなぁと。

この辺は深谷元継(ふかや もとつぐ)先生もブログで書いている。

最初に連日数週間のステロイド(プロトピック)外用治療で抑えられる患者だけを対象としている(これで抑えられない依存・抵抗性例はプロアクティブ療法の対象外)。
 プロアクティブ治療の寛解導入期に無効・悪化でドロップアウトしてしまう患者は、欧米の論文では成人患者の1割ないし2割、日本では以前ブログで見積もりましたが、2~3割です(→こちら)。これらの患者の存在にまったく触れられていない点が、プロアクティブ療法の話におけるトリッキーなところです。まるで全ての患者がプロアクティブ治療でうまくいくかのような印象を与えがちです。
 大矢先生ら、プロアクティブ治療の推進者は、小児科の先生が多いですが、小児では、依存・抵抗性例の頻度が少なく、この問題を軽視しているのが一因でしょう。

http://steroid-withdrawal.weebly.com/1250312525124501246312486124511250227835302741239512388123561239012398124141239212417.htmlより引用

深谷元継先生のブログはアトピー情報の宝庫だからまじでちょっと見てほしい。

かなり難しい内容で読んでもさっぱりだったりするけどアトピーに有益な情報いっぱいっす。

深谷元継先生はプロアクティブ療法は標準治療とはまた違うものという認識っぽいです。

実際どっちかは正直よくわからん。

ただ、できない人もいるからそういう点では標準治療とは呼べないかもね。

ちなみに上の九州大学の画像に深谷先生が補足したものがこっち

炎症をコントロールするのが難しい。

週2回のステロイドじゃ正直アトピーをコントロールするのが難しい。

そもそも最初に炎症を完全に抑え込むことが難しいから、その後のコントロールも思ったようにいかない。

これは深谷先生も指摘している。

 さて、このような「標準治療」を行うことで、アトピー性皮膚炎はどの程度よくなるのでしょうか?以前紹介した九州大学の古江先生らの報告があります。(古江先生は言うまでもなくアトピー性皮膚炎診療ガイドラインの作成委員長です)   13才以上の患者503人を2000年のガイドラインに従って6ヶ月治療した結果、98人すなわち19%が「コントロール不良」と判定されました。もっともこれは「甘い」判定基準で、厳格に基準をとると50%がコントロール不良となります

http://steroid-withdrawal.weebly.com/2716128310278353027412434241951241712427123921239912393123581235612358123711239212363.htmlより引用

プロトピックが出てからはもう少しマシになったみたいだけど、やっぱりプロアクティブ療法はだれでも簡単にアトピーをコントロールできるってものでもないみたい。

ステロイド依存という事実をすっ飛ばした考え方だからね。

プロアクティブ療法の最初の期間に炎症を一旦全部抑え込んで、その後はステロイドやプロトピックを週2回使用するのがエビデンスのあるプロアクティブ療法。

しかし、週2回のステロイドでは耐えられないほど皮膚の炎症が起こっている場合は、必ずしも週2回を守らなくてもいい。

ちなみに週2回の背景には、欧米では医療費が高額なため、ステロイドの使用を週2回に抑えることで医療費を抑えて患者の負担を減らそうという理由もあるので、日本の状況とは少し異なる。

 無理して週2にこだわっても炎症をコントロールできなければ肌にも精神的にもストレスになり、アトピーは良くならない。 

休薬期間を設けるのは大事だけど、目的はあくまでアトピーの症状のコントロール。

生活の質が向上しなかったら意味ないっす。

 

医者もよくわかっていない

プロアクティブ療法で炎症がまったくない健全な皮膚にまでステロイドを塗るのは間違いです。

健康そうな皮膚に見えて実はまだ炎症が残っている部分に塗るんです。

炎症がひどい部分の周囲の部分は一見健康な皮膚に見えるけど、アトピーの炎症は広範囲なので、じつはその周囲の健康そうに見える皮膚にも炎症が起きているから塗るんであって、今まで炎症が起きたことがない部分にまで予防に意味で塗るのはアウトです。

それを勘違いしている皮膚科も普通にいるし、炎症を見分けられない先生もいる。

そもそもプロアクティブ療法を推奨してくる皮膚科はまだまだ少ない。

痒くなったら塗ってね

薬がなくなったらまた来てね

もう少し強い薬に変えようか

こんなんしか言わないからね。言いなりになってると治るものも治らないよ。

だからTARCの数値で判断することが重要。

めんどくさいけどこれが一番。

 

いつまで週2回塗り続けなければいいのかわからない

症状はかなり良くなってきたけど塗るのをやめたらまたアトピーが再発するかも…

っていう恐怖があるからなかなか塗るのをやめられないし、ガイドラインにもプロアクティブ療法の終点は明記されていない。

まぁアトピーはこれをこの期間しっかり使えば治りますよーっていう病気じゃないから「いつまで」という期間は決められないかしょうがないけどね。

それとプロアクティブ療法もやっぱり対処療法にすぎないので、根本的なアトピー対策をしないとやっぱりアトピーの症状から逃げ切ることはできない。

僕が思うにプロアクティブ療法に限らず、ステロイドや免疫抑制剤っていうのは薬でアトピーの症状を抑え込んでいるだけだから、使うのをやめると当然症状は表れる。

別に使うことは悪くないし、生活の質を上げるためというかステロイド使わないと日常生活がかなり困難になるので、ステロイドは敵ではないっす。

 ただやっぱり根本的な解決にならないから、ステロイドやプロトピックで症状を抑えつつ、アトピーの原因になっていると思うものを潰していく、体質を変えるために食生活や運動、生活習慣を変える、サプリの力を借りるなどの薬以外のアプローチが必要になってくる。 

初期の軽度のアトピーなら標準治療、プロアクティブ療法でアトピーは治るかもしれない。

ただ、ある程度長い期間そこそこの症状のアトピーはプロアクティブ療法だけでアトピーを治すのは難しい。

あくまでコントロールするだけ。

しかし、プロアクティブ療法は正しく行われればステロイド依存や体制がついたりするリスクを減らせるので、従来の塗り方(リアクティブ療法)よりはよっぽど良いです。

なんかデメリットばっかり書いちゃったけど、基本的にステロイドを塗るときは正しいプロアクティブ療法で塗るのがベスト。

別にアトピーを完治させなくても、今よりもアトピーの症状をコントロールできるようになれば幸せになれる人はいっぱいいると思うから、プロアクティブ療法を適正に指導してもらえる皮膚科で治療を進めるのはめっちゃいいことだと思います。

 - アトピー性皮膚炎の基礎知識, 薬の塗り方